見出し画像

あの時代へのいとしさが止まらない。NHサークル紹介 vol.2「昭和カルチャー愛好会」

NHのコアは、昭和な人々


昨今、Z世代と言われる人々の間に「昭和」が人気だと聞きます。西武ゆうえんちが昭和の街並みを再現してリニューアルをしたところ連日若者たちで盛況だそうです。そんな状況をほほえましくも嬉しくも思いながら、ニューホライズンコレクティブ(NH)のメンバーが参加するサークルがあります。「昭和カルチャー愛好会」。構成するのはNHコア年齢層40~60歳前後のまさに昭和のリアルを生きた世代。NHにはこのように一つの共通の嗜好を媒介にしてメンバーが集い、語り合ったり実際の提案につなげたりするコミュニティが今続々と生まれています。おじさんおばさんたちが集まって(失礼!)いったい何を語り合うのか、企んでいるのか。NHサークル紹介第2弾として、ちょっと覗いてみたいと思います。

ネタが尽きない会合


そもそもこのサークルの活動目的とはなんなのでしょう。発起人であるNHメンバー大屋清浩さんが会の設立当初に共有した活動内容資料には
「ただ単に昔話で盛り上がりたい!」
と明記されています。
この呼びかけに応じて集まった参加者は徐々に増えて現在15名ほど(うち女性が3名)。
毎月1回オンラインまたはリアルで集結し、「昔」を語り合います。毎回担当する進行役が変わり、お題を決められることになります。これまでに語りあったテーマについてざっと列記すると
・昭和と現代を結ぶ点と線
・昭和のスポーツ
・昭和に出会った「ムー」(※1)的なもの
・昭和な飲み物食べ物
・昭和のアトラクション
・昭和の食と空間
・昭和のお正月
・昭和の歌謡曲
・昭和のお笑いビッグ3
・昭和のアニメ3選
・昭和の広告
など。。
たとえば「昭和のお正月」であれば、
当時正月映画として公開された映画談義~(幼心に『JAWS』は怖かったなぁetc)、少年雑誌の正月特大付録の思い出~(毎年豪華で楽しみだった)、凧揚げで一世を風靡したゲイラカイト(※2)の話題~(正月に公園に行くとゲイラカイトだらけだった)、自家用車のボンネットにしめ飾りをつけたかどうか~(今つける人ほとんどいないよね)、それぞれの出身の田舎での正月料理、初詣、はたまた特異な習わしなど。。。それぞれ話し出すとネタが尽きることがありません。それぞれが得意とする、あるいは思い入れのある話題を提示し、気のすむまで語りつくします。
大屋発起人は会を立ち上げようとしたときの思いを以下のように振り返ります。
「昭和世代の体質って、光と影の部分があると思うのですけれど、私には光の部分のほうがより強く感じられて。特にコロナ以降いま人々のリアルなコミュニケーションが希薄になっていく中、振り返ると人間同士の付き合いの土台のようなものを幼いころあの時代に育まれた気がするのです」
昭和といっても63年ほどの歴史のある中で、このNHメンバーが過ごしたのはごく終盤の青年・少年・少女時代。あまり昭和のダークサイドに触れずに楽しい思いのみを味わえた幸せな世代だったのかもしれません。それにしてもその期間に生み出されたコンテンツやヒット商品のなんと豊穣なことか。いまだにウルトラマンやゴジラはリメイクされていますし、当時の商品の復刻版なども出せば売上が好調のようです。

※1 昭和54年に創刊された日本で唯一無二のオカルト情報誌
※2 斬新な造形で1970年代に日本で大ブームになった洋凧

リアル会では花柳界の研究も


昭和カルチャー愛好会はこれまでに3度リアルの会を実施しました。
1回目は浅草の会として東京の下町の居酒屋にて昭和の演芸をネタに実施。
2回目は新橋の雑居ビル・ニュー新橋ビル内「昭和ブックカフェ」(このカフェのオーナーも自らの昭和好きが高じてお店を開店したそう)にて会合。各自店内にある昭和関連本をテーマに選定しなぜそれを選んだのかから語りだすルール採用。
3回目は東京・向島のバー「水のえ」にてお座敷前や非番の芸妓をゲストに招いてかつて昭和に全盛した花柳界の今を研究する、、。なんと楽しげなと思う方が多いと思いますが参加メンバーはいたって真面目。昭和を語りつくすという点において余念がありません。向島のバーではまずメンバーがそれぞれ昭和の自分の専門分野とともにバーのオーナーや芸妓さんに自己紹介をすることから始めたそうです。
「僕は昭和の映画専門です」「私は昭和のアイドルです」といった具合。まあ、楽しげな、、という部分は否定できませんが。
 

第3回リアル会で会場となった「水のえ」

視察旅行実施


2021年10月にはサークルの一部有志が集まって東北のとあるエリアへ視察旅行に出かけました。昭和カルチャー愛好会で取り上げられたあるテーマから地域にゆかりのあるコンテンツをもとに街おこしの切り札として企画化、地方自治体へ提案できないかと企んだのです。メンバーの一人がその地方に出身であったこともあり地元の人脈もうまく掛け合わせて提案化できるかもしれない。。。現状作業はコロナの再流行などがあり止まってしまっていますが、楽しく話している中にも何かしらビジネスの萌芽があるというスタンスは持ち続けています。
「あまりビジネスを前提に会を運営しすぎると、続かなくなってしまう気がします。が、オンラインの会議でテーマに沿って皆さんが出してくれるプレゼン資料、これがアーカイブされていくのでビジネス化についても今後の大きな財産になっていくと思っています。今後はオンラインとリアル会をうまくバランスさせながらサークル活動を続けていきたいですね」
と大屋さん。

東北にて視察旅行

昭和魂で生み出すチカラ


いわゆるデジタルネイティブと言われる若者たちになぜ昭和が受けているのか。それはデジタルではなかなか感じ取れない昭和コンテンツの肌触りが心地よいのだ、と言う人がいます。ネットが普遍化され、SNSで誰もが発信者になり批評家となりえる昨今。炎上を気にしてなかなか思うように言葉を紡げなくなっている一方、思えばあの頃の消費者には世の中にある情報をもう少しおおらかに受け入れようようという気質があった気がします。人によっては昭和がユル過ぎたのだと断ずる人もいるでしょう。ただそんな時代に親しみやノスタルジーを感ずる日本人が多くなっているのもわかる気がするのです。
「昭和カルチャー愛好会」はユルく、おおらかに、今の時代に忘れかけられている、でも忘れてはいけない何ごとかを起点に語り合うサークル。この生粋のNH昭和メンバーからこの先何が生まれてくるのか。今後の活動が楽しみでなりません。

浅草の会にて