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NH engawa Gallery「人形町書房展」 開催中“推し本”紹介 第3回

みなさまこんにちは、2021年8月2日(月)から人形町NH engawa Gallery
開催している「人形町書房展」ですが、NHのメンバーが選んだ「私の○○な一冊」“推し本”ご紹介も3回目となりました。緊急事態宣言の延長、エリア拡大で外出や移動をしづらい中、お家で読書に時間を充てられる方も多いのではと思います。「本でも読もうかな?」「何か面白い本ないかしら?」という方の参考にしていただければ幸いです。

■二年間の休暇 /ジュール・ベルヌ

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「私の生活に今も影響を与え続ける本」 元松 直己
 日本では小学生向けに編集されたダイジェスト版のタイトル「十五少年漂流記」が有名です。その完訳本です。生きていくためには食べなければならないこと。自然と共に生きなければならないこと。少年たちだけの生活でも社会を作らねばならないこと・・・。現代の世界の課題とその解決法も明示されている内容が、この本には満ち溢れています。私は季節に応じて海/渓流釣り、狩猟をします。一人で、あるいは仲間と自然に対峙している時間が一番落ち着きます。そして、捕獲した獲物を自分で食すことに無上の喜びを見出しています。思い返すと、幼年期には「十五少年漂流記」を、社会人になってからは「二年間の休暇」を読み返していました。フィクションではありますが、十五人の少年たちの原体験は私の身体と脳に組み込まれているようです。

幼少期に読んだ本が今に繋がっている、元松さんの生き方に共感します。狩猟までされる自然との深い関わりは、お話を伺ってみたいですね。

■科学マジック アマチュア実験室
/ケニス・M・スエジー

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「私を科学好きにした一冊」 三輪 喜良
小学生の頃、夢中になって読んだ本です。ケニス・M・スエジー著、金沢 養訳 の「科学マジック アマチュア実験室」という全3巻の実験解説書です。
この本では、物理や化学に関する手軽で初歩的な実験が、おもしろく脚色されて紹介されており、全ページ白黒の本であるにもかかわらず、こどもごころをワクワクとさせるものでした。この本のおかげで、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)の中に、硫酸銅、塩化コバルトなど様々な塩類を“種子”としてまくと、色鮮やかな結晶から、森林の木々のように枝がニョキニョキと伸びてくるという「ケミカル・ガーデン」のことを知りました。それは、夢にまで出てくるようになり、ついには大人の人たちを巻き込んで、実際にその「庭園」を作ってみる体験をすることができたのでした。
もうボロボロになっていますが、自分にとって大切な1冊です。

読み込まれた“ボロボロ”感が三輪少年の“ワクワク”感に比例しています。口絵のレトロフューチャーな写真が今見てもワクワクです、全巻読みたいですね。

■地方・中小が圧倒的に有利!
 食品企業の成功する通販・直販ビジネス
/トゥルーコンサルティング株式会社

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「私の 旬の一冊」 大倉 英嗣
本のライフタイムベストなど選べるものではない。
それで、強引ではあるが「自分にとって、いつがライフタイムでベストであったか」考えてみた。
「今」かも。
サラリーマンを卒業し、新しい仲間たちと新しい地平線を目指す「今」。
こんな心躍る毎日はライフタイムでもそれほどはなかったことだ。
なので、「今」たまたま新しい仕事のための勉強で、この手の中にある一冊を""推し""てみることにした。
今まで関わったことのなかった種類のビジネスに、これから取り組むかもしれない。今まで行ったことのなかった土地で、今まで会ったことがなかった人と、新しいことに挑戦するかもしれない。
本はいつも未来を開いてくれる。

実践的な内容で食品に限らず起業する方には必読の1冊。大倉さんの“推し”コメントに力強い志が込められていて、思わずエールを送りたくなります。

■|新訳|科学的管理法 マネジメントの原点
/フレデリック W.テイラー

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「私の 教員への道を照らした一冊」 小川 修功
客観的な内容はタイトルや帯が示す通りですが、私にとっては「サラリーマンが自らの極めて現場的な知識やスキルをネタに、どうやってそれを教える専門職に就くか」を極めて具体的に説明している本です。著者はハーバードの法学部に合格したのに目の病気に罹って進学をあきらめ、地元で機械工見習いになった不運な男。その彼が工場仕事という極めて実践的かつ職人的な作業を、いかにして学問と呼べるレベルに再構築したか?そんな捉え方ができるのかとビックリしますよ。サラリーマンには、分かっているけどあくまでも仕事や趣味に直結した実務的知識であったり、あるいは上手くできるけど慣れや職人技であって、わざわざ人に学として教えることではないな…と思うモノってありますよね。そういうモノでも捉え方と取り組み方によって体系化できる。そうすることで教育コンテンツ化できる。そこには想像以上の価値がある。そんなことを教わった1冊です。

著者のプロフィールを知って読むと、不運がこの歴史的名著を生み出したのだな、と思いました。本当に考え方、着眼点次第ですね。

■豊饒の海 第四巻 天人五衰/三島由紀夫

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「私の 読まなくても幸せになれる一冊」 齋藤 穂高
三島由紀夫の遺作 豊饒の海 第四巻。
夭折して輪廻転生する主人公の親友の眼を通して展開する長編、三島論は専門家にお任せするとして…見ていただきたいのはブックデザイン。物語の舞台になっている船舶の通信所(静岡清水港駒越の信号所がモデル)から見える情景。日本画家杉山寧の娘でもある三島の奥さん瑤子さんの手によるものですが物語の内容とは対照的で牧歌的。また、カバーを取ったサテン生地に金の箔押し、函のデザインも素敵!眺めているだけで幸せな一冊です。(一~三巻も素敵で紹介したかったです。)シリーズ四巻の時代設定に合わせ、これまで4回読みましたが読むたびに感慨が違います。

私、このnoteの案内人の“推し本”です。みなさんに「1冊選んでください」とお願いしておきながら、1冊に絞るなんて難しいぞっ、コメントの文字数も少ないぞっ、という事がわかりました。すみません。

■ 資本主義の終焉と歴史の危機/水野和夫

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「私の 資本主義への見方を変えた一冊」 池本 俊広
うすうす感じてはいたものの、経済成長という目標は、絶対的なものではない。そもそも資本主義とは、植民地や新興国など「周辺」の存在が不可欠で、そこからの収奪によるものでしかない、と看破。「脱成長社会への成長」を目指すべき、と語る。広井良典氏の「持続可能な福祉社会(ちくま新書)」とともに、大きな視座で社会のありようを見通し、わたしの農への関心をより深めるきっかけになった一冊。

最近の世界情勢をみると、本のタイトルが目に止まりますが…と思いきや2014年の著作だったんですね。

■ボルドー第3版/ロバート・M・パーカーJr.

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「私の 想像力を煽る一冊」 武井 達也
90年代、ボルドーワインにド嵌りしていた私が、この本に出会ったのは20世紀末。どこのページをめくってもわかりやすい点数評価。そして、シンプルなコメント。「ザ・ワイン・アドヴォケイト」編集長&発行者。大のボルドー好きのロバートパーカー。彼のワイン専門誌に端を発して、完成したのがこの分厚い一冊。ワインの点数評価(100点満点)をメジャー化させた著書です。当時の日本において、作り手や売り手ではなく、飲み手の立場から、ワインを評価するという道筋を拓いた価値が大きかったと思います。90年代は国内でワインマーケティングが拡大進化した年でした。この本を開いて、飲んでいるワインの評価コメントを読みながら味わうと、否が応でも想像力が煽られます。ボルドーワイン、実に愛おしい存在です。

今回エントリーの最重量書籍でした。情報量も最重量、ボルドーワインのバイブルですね、奥が深い。武井さんは何本飲まれているのでしょうか?

■まぐれ 投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか/ナシーム・ニコラス・タレブ

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「私の 開眼な一冊」 櫻井 勝規
「ブラックスワン」の著者ナシーム・ニコラス・タレブ氏がその前に刊行していた本です。副題の通りの内容なのですが、まずは 195 ページからの「人生は偶然の出会いでいっぱい」だけでも目を通す価値があります。

195ページから目を通してみました。投資だけでなく日常の生活や仕事でも参考になる内容です。知っているのと知らないのでは雲泥の差でしょうか。

■広告ビジネス入門2018-2019
/林秀一 竹中信勝 他

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「私の 広告ビジネスの原点 の一冊」 竹中 信勝
一般社団法人 日本広告業協会(JAAA)が広告業界加盟社の新入社員研修用に制作したものです。JAAA教育セミナー委員会「広告ビジネス入門」発行委員会委員として1年かけて出版したものです。

竹中さんご自身が執筆されている本です。これは広告業界の新人だけでなく広告に携わる方全員が手元に置いておきたい一冊ですね。

■FULL MOON/Michael Light

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「私の 好きなドキュメンタリー写真集」 佐藤 拓 
宇宙に対する憧れ、人類の冒険心を掻き立てる一冊。地球は生命がある星なのだと再認識させてくる写真集、とくに30pgの写真が好き!

説明を排除したシンプルなブックデザイン、写真がすべてを物語っています。素晴らしいです!

■世界の建築家ー思想と作品/渕上正幸

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「私の クリエーティブってこういうことだなと気づかせてくれた 一冊」
 中村 英隆

大学で建築学科に入って、社会に対するメッセージ性や、アンチテーゼやそれに対してのクリエーティビティーの使い方、そういう面白い人が世の中にはたくさんいるんだなあと、改めて気づかせてくれた作家とその作品のまとめ本。

現在と違った当時の建築界の潮流がうかがえる興味深い1冊です。中村さんのようにクリエーティブの入り口が建築という方も多いですね。

■SLAM DUNK/井上雄彦

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「私の人生を豊かにした一冊」 後藤 康夫
まさにジャンプ連載中が、中学・高校・大学時代であり青春の真っ最中の中で、リアルタイムで読んでいた漫画です。
もちろんバスケ部!でしたが、スラムダンク人気が出る前に入部していて、人気が出た高校時代は、そんな高校生いねーよ!と思いながら、日々の部活でへとへとになりながら、頑張っていたことを思い出します。
今、自分が頑張れるすべてのルーツはバスケ部であり、しんどい練習で嫌いになりそうなバスケをずっと好きでいさせていてくれた!そんな物語です。大人になって、広告代理店と出版社で構成されたプライベートなバスケ大会で、井上先生とプレーできたことは、本当に良い思い出です。

青春時代リアルタイムでにこの作品に出合った方は羨ましいですね。井上先生とプレーも!聖地になったあの踏切も今は人影が少ないです。

■何が映画か「七人の侍」と「まあだだよ」を
 めぐって/黒澤明 宮崎駿

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「私の 演出の考え方を支えてくれる一冊」  阿部 光史
宮崎駿氏が黒澤明氏の家を訪れ、黒澤映画の演出の真髄を聞き出すという大変珍しい本です。何度読み返してもまた新しい発見があります。

本当に、今考えると奇跡の組み合わせですね。対談の音声があれば、息遣いも是非聴いてみたいものです。

■俗物図鑑/筒井康隆

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「私をパロディ好きにした一冊」 村松 正基
盗聴、横領、出歯亀、放火といったタブーなジャンルに特化して詳しいセンセイ方が続々登場。そのパロディの感じがたまらなく好きで、高校時代に読みふけっておりました。
舞台は、評論家の事務所「梁山泊プロダクション」。""俗物"" 達がその知り合いの ""俗物"" 達を集めて作られたこの事務所、イイ意味でNew Horizonと通ずるところがあるような…。
時代を超えて笑えること、間違いなし。オススメです。

多彩で個性豊か、松村さんのコメント通りNHと通じていますね。NHのみんさんはタブーなお仕事はしていませんよね。

■富士山頂/新田次郎

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「私の 普段はあまり本は読まないけど面白くて一気読みした
 新田次郎の山岳小説の一冊」 佐藤 映仁

前例のないプロジェクトの成功を数々の困難を経て達成する、という王道なストーリーではあるが、実話を元にした小説であり、とても感動を覚えた一冊。数学者藤原正彦の父でもあり、富士山測候所勤務でもあった新田次郎の自伝的小説。当時は勿論衛星もなかった時代。伊勢湾台風被害もあり、富士山頂に巨大レーダーを建設し、気象予測の早期探知は悲願でもあった。同名の石原裕次郎主演の映画作品(1970)も、今は富士山であのようなロケは不可能と思われるダイナミックなシーンと、当時の様子が鮮明に伺え、見応えがある。今年は久しぶりの富士登山解禁のようなので、登山の前に一読されてはいかがでしょう?

NHのみなさんは電通時代に一度は富士登山を経験されているのでは?登山は厳しい~、という方も小説でもう一度富士山体験をしてみてはいかがでしょう。
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“推し本”紹介も残すところあと1回となりました。様々な“推し本”を通してNHメンバーの多彩なプロフィールが見えてきましたでしょうか?

第2回“推し本”紹介(未だの方はこちら↓)


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