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NH engawa Gallery「人形町書房展」開催中“推し本”紹介 第2回

みなさまこんにちは、2021年8月2日(月)から人形町NH engawa Galleryで
「人形町書房展」を開催しています。
先週に引き続きNHのメンバーが選んだ「私の○○な一冊」“推し本”をご紹介します。

■最後の紫電改パイロット/笠井智一

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「私の くじけそうになった時、そっと手に取る一冊」 正源司 剛
映画「永遠の0」はフィクションですが、主人公の宮部九蔵や登場人物たちは戦後生き残った海軍戦闘機パイロットの証言をもとに描かれた事をご存じでしょうか。
この本の著者、笠井智一氏も主要な証言者の一人です。
彼は弱冠16歳で海軍に志願し、想像を絶する過酷な訓練に耐え、敗戦色濃い昭和19年から終戦までを最精鋭部隊の基幹搭乗員として戦い抜き、戦後はセメント会社で工場長を勤めた。戦後も戦友や上官たちに思いを馳せない日は1日もなかったという。
私は笠井氏の戦記を残したい、と本人に申し入れ、平成26年から同28年にかけて聞き取り取材を行った。みずからの体験を誇張・自慢する事はなく、戦争を美化したり悲惨さを強調する事もなく、編者として物足りないと思う事もあったが、空の少年戦士たちの実際を伝え、読者に判断を委ねるには最善だった、と振り返って思う。
 笠井氏は令和3年1月逝去。彼らの犠牲を礎に今の平和な日本がある事に感謝しつつ、苦難に遭遇した時には、つい手にとってしまう一冊です。

戦争の記憶を伝え聞く大切な一冊、8・15日を迎えるこの季節にきちんと読んでみたいです。紫電改は、ちばてつやの漫画「紫電改のタカ」で知りました。

■ 土中環境/高田宏臣

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「私の 啓示的な一冊」 熊谷 優
  
河川を水路としかみなさない現代土木技術による治水の綻びが痛ましい形で目につき始めている。人口減少に転じこれ以上の国土開発に走らずともいいはずの日本。今後の土木の在り方を再考するタイミングにきていることを教えてくれる本。

“人生100年時代”を豊に過ごすには、このような問題に関心を寄せることも重要ですね。

■ deja-vu 920410 No.8/ 飯沢耕太郎

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「私の、写真にのめり込むきっかけになった1冊」 大谷 麻弥 
「写真新世紀」というコンペに応募して、初めて賞をいただき、この本に掲載してもらいました。(旧姓の清水麻弥で出ています)そうそうたる写真家が名を連ねている同じ本に自分の写真が載っているということに、ぞくぞくしたのを覚えています。これをきっかけに、写真への向き合い方が変わりました。

写真家としても活躍する大谷さん、新人の登竜門でもあるコンペ、1992年第2回写真新世紀優秀賞が掲載されています。オリジナルプリントも観てみたいです(ぜひengawa Galleryで)。

■ 和のおかず 京味・西健一郎の幸せな台所/西健一郎

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「レシピ本かと思って読んだら人生を変えることになった一冊」市原 弘一 この本を読んで、おいしいものが作れるようになるのは、みんなが思う通りですが。私は、この本で紹介される素材の扱い方を見て「個性」について学びました。出そうとして出すのではなく、消そうとしても消しきれないで最後に残るものが「個性」なんだと。私は広告の企画者で、つねにユニークなものを期待される身としては、それを作者に教えてもらって、ずいぶん気持ちが楽になりました。そして、レシピそのものがすごい。西さんのノウハウが包み隠さず書いてある。作者の料理人としての自信の表れです。そして、作り方を解説してるイラストが無茶苦茶わかりやすいのです。クックパッドもかなわない。さらに、本には書いてないけど、料理の撮影で活躍したのは、いまを時めく井雪の上田さん。ほかにも、この本のことなら3日は語れます。残念ながらもう絶版ですが、プレミア付きの古本ならあるようですね。

貴重な本で入手困難、今回は表紙のパネル展示になりました。機会があればぜひ内容拝見したいですね。(こっそり市原さんにお願いしてみましょう)

■The Goal(ザ・ゴール)/エリヤフ・ゴールドラット

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「私の 勇気をもらった一冊」五百木 進
ボトルネックとなっている課題を発見し、そこの解消に心血を注ぐことで全体最適を図るTOC理論の解説書なのだが、全体がノンフィクション小説となっていてワクワクしながら読了できる。どんな困難な状態に陥っても諦めず、周囲の協力を得ながら職場をリモデリングしていくヒーローと自分を重ね合わせたくなる一冊である。

起業の際にも読みたい、実用書でありながら小説として入り込みやすい一冊。1984年の出版とは驚きました、時代を越えた名著ですね。


■ポケットに仏さまを/ひろさちや

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「私を楽にしてくれた一冊」 田代 浩史
精神的にしんどくなった時に、友人から紹介されたのが「ひろさちや」でした。周りの言うことや、いわゆる常識とされていたもの、そう言う自分を縛り付けていたものから解放されました。僕は仏教徒ではないですが、以降、ひろさちや教徒になってしまいました(^^)

先日のNH公式noteでもインタビュー記事が公開されていた田代さん
https://note.newhorizoncollective.com/n/n7666952d1391
やさしさの根源の一冊かもしれません。

■伊丹十三の本/伊丹十三(「考える人」編集部編)

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 「私のカッコ良いと思う人生が詰まった1冊」 内田 正剛
洒脱な文章を書くことの出来る、マルチな才能を持つ人に憧れます。
絵心あり、センス良くそして食には人一倍の興味もあり・・・・
それでいて、どこかクールな感じがあれば最高。
壇一雄?玉村豊男?開高健?
いやいや、やっぱり男から見ても女から見ても、なおかつグローバル基準でカッコ良いのは【伊丹十三】しかいないでしょ。

“マルチな才能に憧れる”同感です!ジャンルを飛び越えて大活躍された方でしたね。表紙帯のイラストもご本人の描かれたものでしょうか。

■IN SPITE OF THE GODS ~ The strange rise of modern India/Edward Luce

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「私自身を『井の中のカワズ』と再認識させた1冊」 中尾 誠 
インドに赴任したばかりの時に、マーケティング部門のトップで「教授」のようなナラヤンから「これを読んだらインドがどういう国かわかる。というかインドがいかによくわからない国かがわかる」と強く勧められた本です。確かに、インドがいかに捉えにくい多面的な国かがよくわかりました。世界でもトップ級のIT先進国に迫りながら超保守的な古代的価値観念に縛られていたり、民主主義国家でありながら宗教が政治に強烈に影響していたりグローバル化しながらも米国にも中国にもこびない妙な第三極だったり。それまでに海外で20年近く生活して、それなりに世界を知った気になっていた自分が、全く井の中のカワズであったことをあらためて認識させてくれ、「世界ってやっぱりわけのわからないことだらけなのだなあ」と強烈にアタマにパンチをくれた一冊です。

暮らし、仕事をしたことがなければ解らない、中尾さんならではの視点です。機会があれば解説していただきたいですね。

■ぐりとぐら/なかがわりえこ

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「私の原点の一冊」 浅野 佳麻里
小さいころ、この絵本を読んで、すごく楽しい気分になったのを思い出しました。小学校に入った頃からお料理を作るのが好きで、そんなにたいしたものが作れるわけじゃないけど、みんなに食べてもらいたくて、ホットケーキやクッキーなどのお菓子を作っていたので、幼児体験の原点になった1冊です。今読んでもこのふたりのやりとりが微笑ましく、ほっこりしてしまいます。

この絵本は、何度も読み返した、何度も読み聞かせた、という方が多いのでは。「ぐりとぐら」が生まれたのは1963年だそうですが、今読んでも新鮮な輝きです。別の機会にシリーズ全部ご紹介したいですね。

■世に棲む日日/司馬遼太郎

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「私の 前向きな気持ちになれる一冊」 林 英次
吉田松陰と高杉晋作の生涯を描いた作品。10代の頃、何度も読みました。終盤、絶体絶命の状況から高杉晋作が挙兵し、そのまま幕府の長州征伐軍を追い払うまでのくだりは何度読んでもスカッとします。高杉晋作・享年28才。人生100年時代を生きてる私は、100年合わせても彼の28年の熱量を上回れそうにないなと思うけど、でもあんな風に前向きに生きていこうと思える作品です。

夭逝の先人たちに恥ずかしくないような、人生100年時代を築いていきたいですね。(ハードル上げ過ぎでしょうか?)

■春の雪/三島由紀夫

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「私の無人島に漂着した時に持っていたい1冊」 桑原 浩幸
長年の国際スポーツビジネスで、英語の契約書のやり取りばかりをしていると、たまに無性に美しい日本語のシャワーを浴びたくなります。そんな時に必ず手に取る本です。描かれている世界観がたまらなく好きです。

本当にいつでも持ち歩いていたような年季の入った佇まいです。母国語が日本語で良かった、と思えるような一冊です。

■1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書 /藤尾秀昭監修

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「それぞれの感性で広告して欲しい一冊」 鈴木 宏法 
本は自分ではできない経験や先人の偉業を学ぶ場でもあります。
この本には365人の経験や教えが詰まっているので、さまざまなジャンルの方がいるので、刺さる人が1人や2人必ず見つかるはずです。あと、最近日経新聞の広告でこの本が出ていましたが、NHメンバーが作るとそれぞれ違った視点の面白い広告が作れるな、と思ったのと実務家教員として教壇に立つ方の教材にもなるとも思いました。
ちなみに私の好きな野球関係の方は11人いて、特に高校野球名監督5人の話を興味深く読みました。教育者も多く、まさに人生100年時代にふさわしい「人生の後半をどう生きるか」がテーマの外山滋比古先生も。ちなみに、鈴木がドックイヤーをした方が2人。選手としてはイマイチでしたが、野球解説そして監督として一流の栗山英樹さんと指揮者の小林研一郎さん。コバケンさんは、NHメンバー早武さんの師匠だったので、きっと彼に読ませたい、と思って折ったのかな。長い人生、一家に1冊あると重宝します。

今回、長文のコメントをよせていただいた鈴木さん。展示POPの関係で文字数を大きく削っていただきましたが、別の機会にロングバージョンもご紹介したいですね。またこの本をネタにセミナーを開いていただけるとありがたいです。

■ぼくたちに、もうモノは必要ない。/佐々木典士

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「見栄っ張りな私を改革させてくれた1冊」 沖 広一郎
ミニマリストとしての扉を開いてくれた1冊です。
それまでの私はとても見栄っ張りで、いかに高級で、最新のモノに包まれるかばかり考えていました。機械式の時計を毎年買い増し、10万円以上の革靴も15足、仕立てたジャケットにシャツ。下着に靴下までハイエンドなモノばかり。家電やガジェットも出るや否や買い込む。車だって2年ごとに新車を買い替え、買った瞬間にこの車がいくらで売れて、次は何を買うかを考えていました。大学だって、就職先だってネームバリューが全て。だってそれが一番見栄が張れるから。
この本を読んで、改めて自分の人生のハイライトをベスト10まで挙げてみると、モノがあることによって生まれた満足感や達成感というのが1つもないことに気づきました。
私はなんてつまらないことをしていたのか。電通という抜群のブランドを捨てて、自分の人生を実りあるものにしようと変えてくれた1冊です。

モノから解放されたい。是非是非、参考にしたい1冊です。沖さんの近況もお聞きしたくなる“推し本”です。

■孟嘗君(1)~(5) 宮城谷昌光

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「私の とにかく(個人的に)泣ける一冊」 田邉 守
中国古代史が好きで、孟嘗君という人物名は知ってはいました。でもこの本は伝記ではなく、孟嘗君の義父であり、「中国の商人の祖」といわれているらしい白圭という快男児から始まる「漢(おとこ)」たちの大河ドラマでした。この本を初めて読んだ時が一人息子がまだ幼い時で、感情移入しすぎて泣けて仕方がありませんでした。「白圭の様に、一市井人でも気宇壮大に、多くの人のために生きたい。」と、読後感では強く思いました。(未だ全く実現できていませんが)

大切に読み込まれた佇まい、ページのどこかに落涙の痕跡があるかもしれません。

■定本 育児の百貨/松田道雄

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「私の心強い1冊」 高見 智子
第一子が生まれた時に、友達がプレゼントしてくれた本です。小児科医による育児本ですが、単なるハウツー本ではなく、思想の書であると思います。子供の身体と心の成長を第一に考える小児科医が寄り添ってくれているかのように当時は感じました。令和時代のママさんパパさんにも読んでほしいです。

ノスタルジックな表紙ですが、世代を越えて読み継がれている本です。高見さんも、この本に助けられたことがたくさんありそうですね。ページを捲ると“あの頃”がよみがえってきそう。

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今回の15作品はいかがでしたか?
ところで…「人形町書房展」の展示にあたりジャンル分けをした方が良くないか?(ビジネス書や小説、実用書など)という意見もありました。議論もいたしましたが、エントリーした皆さんの“推し本”のツボもまちまち、バラエティーに富んでいるので、今回は敢えてアトランダムに展示(ここnoteでも同様に紹介)することにいたしました。
それでは、次回もお楽しみに!


推し本紹介の第一回記事もよろしければどうぞ!



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